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6・20「世界難民の日」に寄せて 創価大学のシリア人学生と語る 2022年6月18日

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6・20「世界難民の日」に寄せて 
創価大学のシリア人学生と語る 2022年6月18日

6・20「世界難民の日」に寄せて 創価大学のシリア人学生と語る 2022年6月18日

2022/06/18

6・20「世界難民の日」に寄せて 創価大学のシリア人学生と語る   2022年6月18日

日本での学び生かし平和の架け橋に

6月20日は「世界難民の日」。現在、世界の難民・避難民は1億人を超え、中東のシリアでは、内戦の影響で国内外へ避難を余儀なくされた人が1000万人以上にのぼっている。創価大学は国際協力機構(JICA)の「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム」(JISR)に参画し、2017年からシリアの難民の学生を受け入れている。同プログラムは、シリア危機により就学機会を奪われた若者に教育の機会を提供し、同国の復興を担う人材の育成を目指すもの。創価大学大学院の理工学研究科で学ぶシリア人学生と井田旬一教授が、創大での生活や祖国への思いなどを巡って語り合った。(編集=小林隆明、南秀一)

創価大学大学院・理工学研究科 井田旬一教授

モニル・アルハラビさん

マナル・サルハさん

サラメ・イスカンダルさん

井田教授 初めに、簡単な自己紹介をお願いできますか。

 モニル・アルハラビさん シリア南部のスワイダーという都市から来ました、アルハラビと申します。JISRプログラムで2019年に来日し、今は理工学研究科で情報システムを学んでいます。

 マナル・サルハさん アルハラビの妻のサルハと申します。生まれは同じスワイダーです。私はJISR生の家族として来日しました。創大を見学して環境がとても気に入り、大学の奨学金を取得して21年に進学しました。

 サラメ・イスカンダルさん 私はダマスカス出身のイスカンダルと申します。ダマスカス大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、レバノンで数年、働きました。その後、運よくこのプログラムに出あい、4年前に創大に来ました。
  
 井田教授 アルハラビさんとサルハさんも、ダマスカス大学の出身でしたね。

 アルハラビさん はい。16年に卒業したのですが、内戦の影響で私もレバノンに移って働くことになりました。
 当時は既に結婚していたのですが、妻はレバノンのビザが取得できずシリアに残っていたため、実は日本に来て初めて一緒に生活することができたんです。
 来日当初は箸の使い方につまずいたり、休日に子どもが体調を崩した時はどうしたらよいか戸惑ったりと苦労が絶えませんでした。しかし、アパートの大家さんをはじめ皆さんがとてもよくしてくださり、だいぶ慣れました。ありがたい環境だと感謝しています。
  
 井田教授 異なる文化での生活は、さまざまな困難があると思います。創価大学の環境はいかがですか。

 イスカンダルさん 学生の多様性に驚きました。今まで出会ったことのない国や地域の人たちとたくさん知り合うことができましたし、何より、他の学生に対してすごく親身な学生の姿に感動しました。
 とりわけ、創大祭は私たちのように異なる文化的背景を持つ学生でも、創価大学という一つの大きな“家族”なのだと感じ、人間の温かさを実感する特別な経験でした。
 それ以来、一人でも多くのシリアの人に同じ体験をしてもらいたいと思い、創大で学ぶことを勧めるようになりました(笑い)。

 サルハさん 私にも「創大で学んだ方がいい」と勧めてくれました(笑い)。
 実際に創大に入学して、学生もそうですが、教授や職員の方々がとても献身的に接してくださることに感動しました。
  
 井田教授 イスカンダルさんは博士課程で学びながら、社会でも活躍されていますね。

 イスカンダルさん シリアのエンジニアと日本企業をつなげるプロジェクトなどを手掛けています。
 プログラムの名前にある通り、シリアと日本を結ぶ「架け橋」をより強くすることが、私の目標です。その橋に道が開け、将来、両国だけでなく、さまざまな国の人々が交流できればと願っています。
 何より、いつか紛争が終結したら祖国の復興に貢献したいと考えているシリア人は多いです。日本との交流は貴重な知識や豊かな精神性を学べるだけでなく、シリアの復興のために自分に何ができるかを具体的に考え、技術を磨くかけがえのない機会になります。現状はどうあれ、将来の国の再建に貢献したい――私自身もそうした思いで学び、働いています。
 創価大学は「自分力の発見」をうたっていますが、私が目指している理想も、まさにここにあります。一人一人が可能性や力を発揮することを支えていきたい。それが私の生きがいになっています。

支援物資の受け取りを待つシリア国内の避難民(昨年11月、イドリブで)EPA=時事

井田教授 シリアでは約680万人が国外へ避難し、約670万人が国内での避難生活を余儀なくされています。

 アルハラビさん シリアには、もともと豊かな自然があり、長い歴史を有する美しい国でした。しかし11年以上続く内戦によって国土は荒れ、人々は疲弊しきっています。その上、ウクライナ情勢によって物価が高騰し、状況は一段と過酷になっています。
 私たちの故郷でも飢餓は非常に深刻です。家族5、6人が一日1ドル以下で暮らさなければならないことも少なくなく、人間として最低限の生活さえままならないのが現状です。
 戦禍を逃れて国外へ避難しても、国内にとどまるより悲惨な境遇になる場合が少なくありません。小さなボートで海を渡ろうとして命を落とした人も数知れません。

 サルハさん 私たちには3歳になる息子がいます。わが子が安全な日本にいられることは、母としてありがたいのが正直な思いである一方で、今もシリアにいる子どもたちのことを思うと胸が痛みます。幼い子どもたちが日々の食事や生活を心配しなければならないなんて。
 難民の子どもたちは全てが不安定になります。本来両親や地域に見守られて育つ大切な時期を、キャンプなどで暮らさなければいけないというのは、あまりにつらいことです。
 全ての子どもたちが安心して生活できる日が、一日も早く来てほしいと願っています。
  
 井田教授 過酷な状況の中、懸命に奮闘される皆さんの姿に勇気をいただいています。

 イスカンダルさん 日本でシリアのことがまだあまり知られておらず、知られていても紛争や難民のイメージが多いことに、さみしさを感じています。
 シリア人も同じ人間であり、難民であっても環境さえあれば十分に働くことができ、社会に貢献できることを知ってもらえたらと思います。

 アルハラビさん 私たちは幸運にも、日本で学ぶ機会を得ました。そうした幸運を当たり前と思わず、常に努力を続けなければいけない。そして、自分だけではなく、自他共の可能性を開くために努力していく中で、真に自らの可能性も開けていく――それが創価大学で得た大切な学びの一つなのです。

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