〈危機の時代を生きる〉 遺伝子スイッチという希望  八王子市個別指導の学習塾 未来義塾です

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2021/04/16

私たちが()(せん)から()()いできた()(でん)()。そこには、(かん)(せん)(しょう)に打ち勝つ(ちから)()められている。

()()の時代を生きる」のテーマは、「遺伝子スイッチという希望」。

生化学、分子生物学が(せん)(もん)で、山口東京理科大学の副学長・薬学部教授の井上幸江さんの()稿(こう)(しょう)(かい)させて頂きます

 

山口東京理科大学副学長・薬学部教授 井上幸江さんのお話

 

()(せん)から()()いだ生命の設計図

 ()(でん)()――それは、私たちが()(せん)から()()いだ(たから)です。

人類が地球に(たん)(じょう)して約700万年。人類はこれまで、さまざまな(かん)(きょう)の変化に適応して()()びてきました。

そして、その中で(たくわ)えられた生き()(ちから)は、生命の設計図である遺伝子に(きざ)まれ、次の世代、また次の世代へと受け継がれてきたのです。

もちろん、その中には、(かん)(せん)(しょう)に立ち向かい、()()えてきた歴史も(ふく)まれます。

今、感染症の(もう)()が世界を(つつ)んでおり、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たち一人一人の生命には新型コロナウイルスにも負けない力が備わっています。

加えて、世界の研究者たちがワクチンや()(りょう)(やく)の開発に当たっており、少しずつ、立ち向かう武器もそろってきました。

だからこそ、決して希望を失わず、3(みつ)(みっ)(ぺい)(みっ)(しゅう)(みっ)(せつ))の(かい)()やマスク着用など、今できる感染(たい)(さく)(てい)(ねい)に続けていきたいと思います。

 

人類はDNAの99.9%が同じ

今回は遺伝子スイッチがテーマですが、その前に、遺伝子について話を進めます。私たち一人一人の身体は、約37兆個ともいわれる(さい)(ぼう)から成り立っており、その一つ一つの細胞の(かく)に、遺伝子が入っています。遺伝子は、私たちの身体を形づくる情報を持っており、これを設計図として生命は誕生するのです。もっとも、遺伝子は私たちが祖先から受け継ぐものの全てではなく、一部でしかありません。全体は「DNA」と()ばれ、DNAの中に()める遺伝子の(わり)(あい)は、わずか1・5%ほどと言われています。人間のDNA(ヒトゲノム)の解読は、2003年に基本的に(かん)(りょう)しました。しかし、世界の人のDNAを調べてみると、さらなる(なぞ)が残りました。どんな人を比べても、99・9%が同じDNAを持っていたのです。人間は太りやすい体質の人もいれば、食べても太らない人もいます。病気にかかりにくい人もいれば、かかりやすい人もいます。99・9%同じなのに、なぜ、こうした(ちが)いが生まれるのでしょうか。

 

 

DNAの二重らせん構造の模型で遊ぶ赤ちゃん。どんな人のDNAを比べても、わずか0・1%の違いしかないことが分かっている ©Tetra Images/Getty Images

DNAの二重らせん構造の模型で遊ぶ赤ちゃん。どんな人のDNAを比べても、わずか01%の違いしかないことが分かっている ©Tetra Images/Getty Images

 

謎を解く(かぎ)は、DNAの遺伝子以外の部分、つまり98・5%の部分にありました。そこには、遺伝子に働き掛けるスイッチのような(やく)(わり)があり、そのスイッチがオンになるか、オフになるかによって、遺伝子の働きが変わることが分かったのです。(かん)(たん)に言えば、食べても太らない人は、()(ぼう)を燃焼するスイッチがオンになっており、病気にかかりにくい人は、(めん)(えき)を高めるスイッチがオンになっているということです。

その上で、遺伝子配列によって、先天的にオンになりやすい人、オフになりやすい人がいることも事実です。しかし、多くの場合、このスイッチは、常にオンではなく、むしろオフになっていて、必要に応じてオンになります。それによって、さまざまな種類のタンパク質が作られ、体内で()(さい)な働きをするのです。
 
私は、大学院生の時から40年以上、このスイッチのオン・オフの仕組みを明らかにしようと研究してきました。しかし、仕組みの謎に(せま)れば迫るほど、その複雑さを感じてきました。
 
例えば、人間の身体を構成するタンパク質は熱に弱く、()()などで熱が出ると変質してしまうのですが、体内には、その変質を元に(もど)すタンパク質が(そん)(ざい)することが知られています。これはヒートショックプロテインと()ばれ、(だい)(ちょう)(きん)から人間に(いた)るまで、あらゆる生物が備えている生命の(ぼう)(ぎょ)機能です。この一つを取っても、分かっているだけで10個くらいのスイッチが関係しており、いつオンになり、いつオフになるのかは正確には解明されていません。

私たちの生命の(たく)みな適応力

スイッチのオン・オフに関わっているのは、さまざまなストレスです。ストレスと言うと、精神的ストレスを思い()かべるかもしれませんが、生物学では、精神的なストレスを(のぞ)き、温度の変化や()(がい)(せん)といった物理的ストレス、置かれた環境に酸素や水分があるかといった化学的ストレス、(さい)(きん)やウイルスなどの(しん)(にゅう)によって引き起こされる生物的ストレスを意味します。
 
私たちの生命は、こうしたストレスを(びん)(かん)に感じ取り、()(でん)()スイッチを()()えます。
例えば、インフルエンザウイルスが(しん)(にゅう)すれば、体温(せい)(ぎょ)のスイッチがオンになり、ウイルスが(ぞう)(しょく)できない温度に発熱して、(かん)(せん)拡大を(おさ)えてくれるのです。
このように、私たちの生命は、たとえ自分が感じていなくても、(たく)みな適応力で身体を一番良い方向に持っていこうとしてくれます。ただ、必ずしも全てのスイッチをオンにすれば良いわけではありません。身体に良い働きをする遺伝子もあれば、逆に(あく)(えい)(きょう)(あた)える遺伝子もあるからです。しかし、たとえ悪い働きをする遺伝子であっても、生命活動には(ひっ)()です。 例えば、がんを引き起こす遺伝子も、本来は、(さい)(ぼう)(ぶん)(れつ)や増殖の制御に関わるタンパク質を作っています。問題は、その遺伝子の(へん)()によって働きが変わってしまうと、病気を引き起こす原因になってしまうことです。
また、良い働きをする遺伝子でも、それが強まり過ぎると、逆に身体に害を(およ)ぼすことがあります。大事なことは、オンとオフを適度に働かせることなのです。

 

行動と心の持ち方が運命を変える

これまでは、両親から()()いだ遺伝子は、変化することはなく、その遺伝子の働きによって、私たちの体質や才能も決まると考えられてきました。事実、先天的にがんになりやすいといった遺伝子配列の人もいます。しかし、がんを抑える遺伝子スイッチの働きがオンになれば、がんにならない可能性があるのです。むしろ、運命は決められたものではなく、スイッチのオン・オフによって変えられることが分かってきました。では、私たちは、このスイッチのオン・オフを調整することができるのでしょうか。
それには、私たち自身の行動が(かぎ)(にぎ)っています。健康()()には適度な運動・(すい)(みん)・食事が重要と言われますが、バランスの良い生活習慣によって、スイッチも適度に保たれると考えられています。また、個人的には、心の持ち方も大切であると考えます。「(やまい)は気から」と言われますが、私たちの心と身体は(みっ)(せつ)な関係にあり、精神的に弱っていると病気にかかりやすく、逆に心が喜びで満たされていると、身体に元気がみなぎり、病気にもかかりにくくなるといった経験は、(みな)さんもお持ちでしょう。心と遺伝子の関係は、科学的には解明が始まったばかりですが、研究が進めば、絶対に生き()いてみせるという強い心を持ったり、夢や希望を持って前を向いたりすることによって、生命力を高め、(めん)(えき)力を高めるスイッチが働くといったことも、分かってくるかもしれません。 (きょう)()深いところでは、ハーバード大学から、祈りという(こう)()によって、2200以上の遺伝子スイッチが働くという研究成果が発表されています。これは、祈りの重要性について、深く考えさせられるものでしょう。残念ながら、それらのスイッチが働くことで、人体にどのような影響を及ぼすのかは、まだ分かっていません。

(だれ)にも等しく豊かな可能性が

科学の(はっ)(てん)によって、生物の(なぞ)が少しずつ解き明かされています。一方、iPS(さい)(ぼう)(人工多能性幹細胞)やゲノム編集など、遺伝子(そう)()のさまざまな技術が開発された現在でも、1個のウイルスはもちろん、生命を“無”からつくることはできません。また、生命の(しん)()を知ったとしても、その生命とどう向き合い、いかに生きるべきかについては、科学では教えてくれません。そこには(てつ)(がく)が必要なのです。
日蓮仏法は、一人一人に「仏の生命」が備わっていると教えていますが、遺伝子レベルで見ても、人間は99・9%同じであり、全ての人に差別なく豊かな可能性があると言えます。時には気分が落ち()み、自信が持てないと思うこともあるかもしれませんが、どこかの遺伝子スイッチを適切に調節できれば、(だれ)しもが生き生きと(かがや)くことができるはずです。
私は、これまでに出会った国内外の全ての皆さまへの報恩感謝を(むね)に、そうしたスイッチの仕組みを明らかにし、一人でも多くの人が希望の人生を歩んでいけるよう、これからも研究を重ねていきたいと決意しています。

 

 

<プロフィル>

 いのうえ・さちえ 医学博士。広島大学薬学部卒業、同大学院修士課程修了。山口大学大学院医学研究科博士課程修了。山口大学医学部医学科助手、米スタンフォード大学客員研究員、山口大学医学部医学科専任講師、安田女子大学薬学部教授などを経て現職。


 

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